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研究室の方針

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この研究室では,「手で考える」ことをもっとも重視しています.「手で考える」とは,手を動かしものをつくりながら,同時に頭を使って考え,研究を進めるということです.どんなに優れたアイディアがあったとしても,形にしなければその価値は人に伝わりません.また,形にすることで,あいまいな自分の考えを明確にし,研究をさらに前に進めることができるようになります.
「手で考える」というのは研究を進める方法の一つに過ぎませんが,新しいものを作る上ではとても大切な訓練です悩んだらまずは作ってみましょう.

研究活動の流れ

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「手で考える」と言っても,いきなりできるものではありません.ものを作るには,電子工作やプログラミング技術を身につける,レーザーカッターや3Dプリンタ,機械加工装置を使いこなすなど,多くの技術が必要になりますまた,考え,研究を進めることにも技術が必要です.
この研究室では,新入学生のための各種ものづくり講習会を開催しています.講習会は4月からすぐに開始され,プログラミングや電子工作から3Dプリンタなど,もの作りに必須となる基礎的技術について身につけることができます.短期間での講習なので未経験者にとっては大変ですが,これを終えると,実にいろいろなものを作ることができるようになります.実際,多くの学生さんは講習会終了直後からIVRCの作品開発に着手し,数ヶ月で,完全に学生だけで,数千人の一般人が楽しめる作品を完成させています.

研究のすすめ方

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研究の進め方は研究を通して身につけるのが一番です.この研究室では新規テーマの提案は常に歓迎です.しかし入ってすぐに良いテーマを思いつくことはなかなか難しいものですので,研究室配属直後にいくつか研究テーマを示します.自分たちの興味に従って選び,まずは半年頑張って下さい.例年秋には国内で学会が開催されます.そこで半年やった成果を発表し,一つの区切りとします. 最初にテーマを提示されたときはよくわからないまま選んでいるので,半年もやっていると不満も募ってくることもあります.勉強もするので,その分野の概観もおぼろげながら見えてきます.ですのでテーマになじめないと感じたならば,早々に別テーマへの移動を推奨します.ただし,「なじめないので何か別のテーマ下さい」は認めていません.必ず代案となるテーマ候補を自分で提案して下さい.「なじめないので新しくこういうテーマをやりたいと思うが」ということであれば,研究室メンバー全員が,よりよいテーマとなるように協力します.もちろん最初のテーマをそのまま継続するというのも歓迎です.

研究の方法について

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研究のやり方は一つではありませんが,「なんだか面白そう」という直感から入るのも一つの方法です.普段から面白いと思ってやっている自分の趣味について,こうしたらより面白くなるのではないか,とか,日常生活のささいな不満に対して,こうしたら面白くなるのではないか,などなど.まずはそういったふとした思いつきをきっかけとして,実際にものを作るのです.

ただし,そこで止まれば「趣味としてのもの作り」であり,「研究」ではありません「趣味としてのもの作り」を「研究」に昇華させるには,作ったものの本質的価値を理解し,再利用可能な形で皆で共有することが肝要です.それはなぜ面白いのか,面白さの本質は何か,それは他の人と共有可能な価値であるのか,共有することによってどのようなインパクトがあるか,そういった点について少しずつ考え,前進していくことが研究です.

新しいアイディアの多くは頭の中だけではその本質的価値を計ることは困難であり,実際に形にする必要があります.素早くプロトタイプを作り,自分の考えの善し悪しを確かめ,ダメならすぐ次へ行く.良ければよりよくする手段を考えてまた作る.このサイクルを如何に素早く効率的にまわすか,これが肝要となります.初期の講習はそのためのものです.

また,この分野は人間を直接の研究対象としているため,人間の性質についての知識も要求されます.ただ直感に従ってものを作っていく,だけでは研究に昇華することは極めて困難です.ものを作ること,適切かつ幅広い知識を身につけていくこと.これらをバランスとりつつ実施していくことが,良い研究の基本です.

研究の到達目標について

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研究は面白いことをやることが大切であり,とくに初期段階ではとても重要です.しかしそれだけで続けられるようなものではありません.自分だけが,あるいは自分の周囲だけがおもしろがっていても無意味です.その研究の価値を人に伝え,議論し,より高めていくこと,価値を共有することが必須です.そのため本研究室では,在籍中に国際学会に投稿することを強く推奨しています.すなわち,国際的に認められるレベルの研究をすることを強く求めます.

自分にできるか?

あなた次第,としか言いようがありません.やるかやらないか,ただそれだけの問題です.研究には正解はありません.こと研究においては,教員も学生も共にわからない正解を追い求める者であり,いわば同僚です.そして研究室ができることは,やろうと思う人に対する支援です.是非周りの環境をうまく利用して,自分のやりたいことを成し遂げて欲しいと思っています.